酒類の販売業免許の申請 NEW!

酒販免許の基礎

飲食店と酒屋、どちらもお酒を売っているけど何が違う?

酒販免許取得のお手伝いをしている「飲食店でお酒を売るのと、酒屋でお酒を売るのは何が違うのですか?」とよく質問を受けます。確かに飲食店もお酒を売っていますし、酒屋もお酒を売っています。いったい何が、どう違うのでしょうか?

結論は「お酒の容器を開栓して売るかそうでないか。」の違いです。

具体的には飲食店を営業するには食品衛生法に基づいて、保健所から飲食店営業許可をもらう必要があります。そして、飲食店では主にお客様へメニューの一つとしてお酒を提供します。生ビールやグラスワイン、サワー、日本酒など、開栓したボトルや樽から注いだお酒をお客様に提供するのは飲食店営業許可の範囲で行うことができます。

一方、未開栓のお酒をボトルや樽ごと売る場合は、酒税法上の酒類の小売業に該当し、酒販免許が別途必要となります。

酒類業界の流通構造

1.酒類製造者(酒類メーカー)
2.酒類卸業者(酒類問屋)
3.酒販店(コンビニ・スーパー・通販ショップ・町の酒屋さん)
4.飲食店・一般消費者

「1.酒類製造者」とはいわゆるメーカーです。大手酒類メーカー、日本酒の蔵元、ワインのワイナリー、地ビールのブルワリーなどがこれにあたります。

「2.卸業者」とは一般にはなじみが薄いですが、メーカーから各種酒類を仕入れて、地域の酒販店に販売(卸売)している中間業者です。

「3.酒販店」は、町の酒屋さん、コンビニ、スーパー、ディスカウントストア、通販ショップなどがこれにあたります。この酒販店は個人の一般消費者を主な販売先とする「家庭用酒販店」と、飲食店やホテル、旅館などを販売先とする「業務用酒販店」に大別されます。街中でお酒を積んだトラックから配達員が台車で飲食店にお酒を配達しているのを見かけたことがあると思いますが、これは業務用酒販店です。

「4.飲食店・一般消費者」は私達が身近に利用する居酒屋、レストラン、または「3.酒販店」でお酒を購入する私たち消費者です。飲食店内で注文するお酒は飲食店経営者が主に酒販店から仕入れたものです。

1.の立場で酒類ビジネスを行うには「酒類製造免許」
2.の立場で酒類ビジネスを行うには「酒類卸売業免許」
3.の立場で酒類ビジネスを行うには「酒類小売業免許」

が必要です。

主な免許種別

免許種別は色々ありますが、主な免許種別を整理すると以下になります。

  • 小売免許の区分
    免許区分 内容 備考
    一般酒類小売業免許 飲食店、一般消費者に対する
    小売
    ・全酒類の小売が可能
    ・有店舗、無店舗ともに可
    ・1つの都道府県内で小売可能
    通信販売酒類小売業免許 インターネット、チラシ、
    カタログによる通信販売
    ・輸入酒は販売制限なし
    ・国産酒は大手メーカーの
     酒類は取扱い不可
    (3,000kl制限。詳細後述)

 ・卸売業免許の区分

免許区分 内容 備考
洋酒卸売業免許 ワイン、ウイスキー、スピリッツ、
発泡酒、リキュールなどを卸売する
・他卸業者からの仕入れも可能
輸入卸売業免許 自社輸入の酒類を卸売する免許  
輸出卸売業免許 自社輸出の酒類を卸売する免許  
自己商標卸売業免許 オリジナルブランド(自社が開発した
商標や銘柄)の酒類を卸売する免許
・自己商標以外は卸売不可
全酒類卸売業免許 すべての酒類が卸売可能な免許 ・取得のハードル高い
・抽選、付与可能枠あり
ビール卸売業免許 ビールを卸売する免許 ・取得のハードル高い
・抽選、付与可能枠あり

4つの要件

酒販免許は国税庁(税務署)が管轄する免許ですが、免許を取得するためには酒税法という法律で大きく4つのクリアすべき条件(法律用語では要件といいます)が定められています。

酒類指導官との事前相談

A:酒類指導官って誰?
酒販免許の申請や審査を専門に担当する専門職の方です。免許取得を考える方の相談にも応じてくれます。

B:どこの税務署の酒類指導官に相談に行けばいいの?
税務署は全国各地にありますが、いきなり最寄りの税務署へアポなしで相談に行けばいいというものではありません。税務署は地域ごとに管轄が分かれていて、酒販免許は酒類販売を行いたい場所(販売場といいます)を管轄する税務署から免許を付与してもらう必要があります。そして相談先である酒類指導官はどこの税務署にもいるわけではありません。具体的には、複数の税務署(地域担当の所轄税務署)を取りまとめている税務署(酒類指導官常駐税務署)があり、そこに酒類指導官は常駐しています。

相談先と申請先をまとめると、

相談先⇒酒類指導官のいる税務署(酒類指導官常駐税務署)
申請先⇒販売場を設ける場所を管轄している税務署(所轄税務署)

C:事前相談は税務署を訪問しないといけないの?
「税務署に行くのも面倒だし、相談なら電話でいいんじゃない?」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、きちんと酒販免許を取得したいと思えば「必ず酒類指導官を訪問して事前相談を行ってください」。電話で済まそうと思っても酒類指導官から「詳しいことは税務署に来てから相談してください。」と言われます。そして、相談前にあなたがどのような酒類ビジネスを行いたいのかを整理し、簡単なものでいいのでレジュメを作っていくと話もスムーズです。

免許取得に必要な4つの要件

1.人的要件とは?
「●●に該当する会社や人には免許付与をしませんよ」というものです。簡単にいうと、「税金の滞納処分を受けたことがないこと」や「各種法令に違反して罰則を受けたことがない(ある場合は一定期間経過していること)」などです。

2.場所的要件とは?
酒類販売を行おうとしている場所が適切な場所であるかどうかを判断する基準のことです

3.経営基礎要件とは?
免許を取得して酒類販売をしようと思っている法人や個人が資金、経験、経営状態としてふさわしいかどうかを判断する基準のことです。

4.需給調整要件とは?
酒類の仕入れや販売が適正な方法で行えるかどうか」「販売に際して価格や品質などが適正に保たれるかどうか」といった基準のことです。

実際に酒販免許の申請準備で問題になることが多いのは「場所的要件」「経営基礎要件」「需給調整要件」の3つです。しかし、一般の方は税務署の手引書を読んで各要件があることは理解できても「実際に自分の場合はどうだろう?」ということが分かりづらいことが多く、酒販免許を取得する際の不安や疑問の大部分を占めています。

また、各要件はどれか1つが欠けても免許取得には至りません。各要件をクリアする程度差はありますが(例えば場所的要件は十分クリアできたが、経営基礎要件はクリアできるかギリギリといった場合)、そこは税務署の総合的な判断となります。

場所的要件

税務署(国税庁)の手引書には「他の酒類製造場や酒屋、飲食店と同一の場所ではないこと」「お酒の売り場が区画割り、代金決済の独立性、他営業主体との区分が明確であること」の2つが記載されています。(例外的に飲食店内で酒販免許を取得できる場合もあります。)しかし、実際にはこの2つの他にも場所的要件として気をつけなければならないことがあります。

経営基礎要件

「経営基礎要件」は免許取得の可否を左右する重要な要件です。国税庁の手引書でもこの経営基礎要件は他の要件に比べて細かいことが書かれていますが、大別すると以下の2点になります。

1.資金(資産状況)
2.経験(申請者の経歴と知識)

「1.資金」については「該当してはならない」内容が、「経験(申請者の経歴や知識)」については「該当しなくてはならない」内容が定められています。

シビアに判断される「資金」について

まず、手引書を見ると

税金の滞納をしていないかどうか
銀行取引停止処分をうけていないかどうか
が書かれています。この2つに該当する場合、お金や経営が苦しいということですから、新規で酒類ビジネスを行いたくても長期継続的に事業を継続できるか不透明と判断されます。

既に他の事業を行っている会社や個人事業主が免許取得を考える場合、過去3事業年度の決算状況や、直近の資産状況について定められています。会計知識をお持ちでない方や数字が苦手な方が手引書を読むと理解しづらい内容かもしれませんが、ポイントは次の2つです。

1.「免許申請時の直近の決算で繰越損失が資本の額より膨らんでいる。」
2.「直近の3事業年度すべてで資本の20%を超える赤字が出ている。」

1.免許申請時の直近の決算で、繰越損失が資本の額よりも膨らんでいる場合
(例)資本金300万円の会社で、貸借対照表上に繰越損失が300万円以上、計上されている場合

この場合、経営状態が良くないと判断されます。既に事業を行っている方の場合、決算書の貸借対照表を確認いただくと資本の額も繰越損失も記載されているのでお分かりいただけると思います。

2.直近の3事業年度すべてで資本の20%を超える赤字が出ている場合

(例)資本金300万円の会社で、3期連続で60万円を超える赤字が出ている場合

この場合、経営状態が良くないと判断されます。赤字額は損益計算書に、資本の額は貸借対照表に記載されています。

もう1つの経営基礎要件である「申請者の経歴と知識」についてです。
これは、

1.事業の経営経験の有無
2.酒類関連ビジネスの経験の有無

の2つから総合判断されます。そして、この2つがどの程度あるかに加えて「酒類販売管理研修」の受講の有無がプラスアルファの判断材料となります。

需給調整要件

税務署の手引書には、

特定の売り先に販売する法人ではないこと
飲食店等の接客業者でないこと(例外があります)
が記載されていますが、これとは別にとても重要なことがあります。

それは、

1.どこからいくらで仕入れて、どこにいくらで売るか?
2.どれぐらい売れるのか(売りたいのか)?
3.長期安定的に酒類の販売と管理体制構築ができるのか?  ということです。

1.についてはすでに述べましたが、具体的なお酒の仕入れ先(酒類製造者または酒類卸業者)と売り先(主に酒類小売業者または飲食店や一般消費者)の見通しと、適正な金額による流通が確保されなければならないということです。

実際、免許の申請書にも具体的な仕入れ先の名称と住所を記載する欄があります。そして、どういった相手に(飲食店や一般消費者)、どのような方法で販売するのか(営業方法)を記載する欄もあります。つまり仕入れ先と売り先が具体的でないと適正に酒類販売を行えるとは見なされません。

2.と3.については、実際に免許を付与したものの、さっぱりお酒が売れなければ免許を与えた意味が薄れますし、お酒は酒税が絡む関係でしっかりとした管理体制を構築することが求められます。

販売先として飲食店を見込む場合、どのエリアの飲食店に対してどのような営業活動をしていくのか。一般消費者に対してはどのように告知し、販売機会を創出していくかが問われます。

添付書類・部数

  1. 1 一般酒類小売業免許等の申請 (PDFファイル/209KB)
  2. 2 法人成り等の申請 (PDFファイル/155KB)
  3. 3 通信販売酒類小売業免許及び特殊酒類小売業免許の申請 (PDFファイル/215KB)
  4. 4 期限付免許の申請 (PDFファイル/236KB)

※ 料飲店等期限付酒類小売業免許の申請様式等についてはこちら

酒類販売業免許等の申請に必要な申請書類は、「酒類販売業免許等申請書類一覧表」をご参照ください。

 

 

 

 

 

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